ストラトフォード・アポン・エイボン

初めてのイギリス旅行。

オプショナルツアーにコッツウォルズはあっても、ストラトフォード・アポン・エイボンがありませんでした。ツアー中のフリータイムに、ひとりでも行ってみたいと思って、ツアーを離れました。英語も単語だけでやってみようと。

早朝、パディントン駅へ。切符は買ったけれど、どの列車に乗ればいいのかさっぱりわかりません。駅の現場に立っている人に聞いて、乗り込みました。日本と比べるからか、それとも今日のこの日のこの列車のオリジナルの雰囲気か、どことなく、鼻白むムード。車掌さんらしき人がいたので、聞いてみると列車は間違っていないみたい。だけど、会話の間がなんとなく・・おかしな予感・・・。

やがて、列車が止まり、進まなくなりました。「まだ、アッポンエイボンじゃないでしょ!」と乗客が降りる中、すまして座っていると、「とっとと降りて!」と言わんばかり、何があったのかわからないまま車外へ放り出されました。

日本人女性をみつけて聞いてみると、事情で、これ以上は行かないとか。彼女達もとてもがっかり、ロンドンへ戻るということでした。どうしようか、と思ったけれど、乗り継ぎを待っている人もいるので、少し様子を見ることにしました。でも、掲示板にも、GOサインとなるようなメッセージは出てきません。

「どうして、そこへ行くのか?」というようなことを聞いてきたリュックの青年も立ち去って、待つ人もいなくなり、上りの列車に乗り換えました。諦めもついた、帰りの車内は殆ど人がいません。パンを出そうとすると、隣、向かいに犬を連れたおば様が座ったので、床に伏したワンちゃんを刺激するか(食べられるか)と思って出すに出せず…。

駅に着くとそのおば様は随分な荷物と犬。思わず荷物を持ってあげて、しばらく歩きました。なんだかここまできて、マダムとメイドの図?親切心も空回り。前日には、お気に入りの財布(市内交通費程度の現金しか入っていなかったけれど)がすられたし。

窓口で、「とっても行きたかった所に行けなかったんだから、返金してくれないの?」と伝えたつもり。迷惑顔の駅員さんが、書類を持って外に出てきました。こんな横文字だらけの所に記入して大丈夫かしらと不安になり、返金を諦め、帰ろうとすると引き止めて、急に優しく説明してくれます。

名前を書いている間、顔を覗きこんで“エェッ~クセレント!!”(?)を連発して、落ちこんだ気持ちを持ち上げてくれました。例外に強引に返金してもらったのかもしれないけれど、わずかのお金が嬉しかった。充実したであろうツアーを選ばず、いったい私は何をしたのかしら?と思いながら、残りの時間をハロッズで過ごしただけの1日でした。

ただ、わかったことは、日本の鉄道が外国と同じと思ってはいけないということでした。数分刻みで、運営される鉄道は、必ずしも外国に出ると常識とは言えないようです。より速く正確であることは、正しさや常識とは別です。
たまたまの稀なケースだったかもしれないけれど、イギリスではイギリスの(裏事情も含めて)運営があるのだと思いました。数年前のことです。