極楽列車とは、命いっぱいに生きる生命を例えました。いったいどのような線路を走るのかな、と考えていると画集で見た(実際には見たことがない)一枚の絵が思い浮かびました。 東山魁夷さんの「道」です。

著書「風景との対話」(新潮選書)の中で、「これから歩いていく道」「早朝の薄明の中に静かに息づき、坦々として、在るがままに在る、ひとすじの道」と著されています。

随分前にこの絵を見た時は、平坦な道しか描かれておらず物足りない感じがしました。今この絵を見てみると、「生命の解放」「自由」という言葉が思い浮かびました。生命の意志に対して素直な道。

「風景との対話」第4章「ひとすじの道」には東山さんが歩いた様々の道が紹介されています。様々でありながら、ひとすじであるということ。一見平坦に見えても、実際には快晴や嵐の色々な天気と景色、人生の浮き沈みが背景にありながら、しかし、総括すれば全く障害がなかったということができる道を歩むのだという、力強い意志が一筋に通っているのでしょうか。

この道は東山さんの道だけれど、誰でも等しく抑圧から生命が解き放たれて、あるべき方向へ進むべきだという遠い未来社会への祈りや、メッセージが込められているようにも感じられます。