アッシジの空

はじめてお会いしたその人は、アッシジの星降る風景をことばで見事に描き出し、語ってくれました。本当に臨場感に溢れていて、絶対に行って見たいと思わせるものがありました。

あるお祝いの席で意気投合して、その後4人で食事にでかけた時のことです。銀座の裏の通りにある新しくない小さなフランス風のレストランが、一瞬にしてシャンソンの聴こえるプラネタリウムに変わりました。

広島から、迷ったあげく出席することにして、スーツででかけました。でも、会場に行くと、さりげないおしゃれな人が多いようで、地方から出てきたという劣等感にさいなまれて小さくなっていると、その三人の方が声をかけてくださって、同じ趣味の会員でもあり、すぐに打ち溶けることができました。

レストランから出る時、皆同じ記念品をいただいていたので、どれが誰のであったかわからなくなりましたが、どれも同じなので分け合って広島に帰りました。すると、確かに入っていた記念品のひとつが欠けていることに気づきました。諦めようかなと思ったけれど、「アッシジの人」に連絡すると、すぐに連絡網でつながって、手元に戻ってきました。しかしその後、「アッシジの人」が急に亡くなったことを知りました。

やがて、思いがけずアッシジにお昼間に立ち寄る機会に恵まれました。夜空は見ることができず残念に思っていると、教会の天井に星空が描かれていて、本当に星の都なんだなと感じました。その時購入した栞には、教会の背景が濃紺の夜空で、金の星が上から下まで描かれています。最近机の中を整理していると出てきて、毎日見えるところに飾りました。