折鶴

平和記念資料館で、今回特に印象に残ったのは、佐々木禎子さんの折った小さな折鶴です。佐々木さんは「原爆の子の像」のモデルでもあり、病床で回復を祈りながら、鶴を折り続けた話は、よく知られています。

その折鶴がこんなに小さいものであったかと、始めて気づきました。資料館の説明文から、「折鶴を折れば回復する。」というという願いとともに、折鶴の美しさが少女の心を捕らえたのだということがわかりました。

折鶴は薬の包み紙などで折られているのですが、セロファンなどで光沢があるように思いました。静かな宝石のように見えました。滅びない少女の純情を写し撮った宝石です。

同行の友人は、当初、「被爆によって亡くなった子供はたくさんいるのに、なぜ佐々木禎子さんだけなのか?」という疑問を持っていましたし、私もこの折鶴と本当に出会うまでは、答えることができませんでした。しかし、佐々木さんが、「全ての子供の命」の代弁者であることがわかりました。そして、「美は生き続ける」ということも。

また、平和公園の見方も変わりました。原爆の悲惨さを訴えているだけの場所ではなく、「親心公園」だと。「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻んだ心に、「子供の命を守っていってほしい。」という、祈りの遺産が残されていました。