蓬のご縁

高級和菓子の包装は丁寧なものが多いのかもしれませんが、五百円玉くらいの小さな蓬餅は、それとは違って気取らないお土産ものではあるけれど、心が籠って丁寧であるように感じました。                                            

草餅が入っている箱の蓋は、和紙風の蓬の草色で、色の濃淡で描かれた菱形模様が花びらのように並んでいます。その蓋は草餅の由来でもあるらしい法語が白抜きの文字で書かれた、やはり和紙風の明るい若草色の紙で巻いてあります。箱を包む包装紙も同じ柄ですが、色は翡翠のような緑です。                               

お餅は、まず薄様のような正方形の紙で包まれて、糊付けは殆どされていません。それをまた熨斗紙風の白地に横に朱の線が入っている紙で巻いてありますが、裏側には「草餅や・・」という歌まで書いてあり、小さな「善」文字入りのシールでちょっと留めてあります。 

目に見えることより、見えないことの何かが独自のブランドになっているようで、競わず、過不足なく、伝えたい事を謙虚に草餅に託してあるようでした。