天女の舞

1月、ちょっと不思議な体験をしました。その日の天気は快晴、穏やかな日でした。屋外でふたりがかりで、大きな布を畳んでいた時のことです。

長さが10メートル以上あり、なかなきれいにたためず悪戦苦闘。 幅は1メートルくらいでしたのでそのまま両手で広げ、お互いに先ず端と端を持って布をいっぱいに伸ばした後、縦の長い部分を1/2、その次は1/4その次は1/8と短くしていくことにしました。

1/4にするため、向こうの端の部分を受け取った瞬間のことです。今まで吹いていなかったようなのに、さあっと風が吹き渡りました。

するとその布がこいのぼりの吹流しのようにふわっと浮かんで、水平にきれいに流れました。端同士を合わせるため私の方に来ていた、一緒にたたんでいた彼女は慌てて、この機を逃さないぞと、向こう側に走って回り、風から布の端を立ったまま受け取りました。

風が吹かなければ布を地面から自分で持ち上げたあとまたきれいに伸ばすはずの場面。そして、またその半分にしたかと思うと、また風がさあっと吹き渡り、ふわっと布が風に乗ったため、思ったより軽々ときれいにたためました。

私と彼女と風と3者の共同作業であったという実感が湧き起こりました。 1月であるのに穏やかな日で、まるでその瞬間だけ風が「さあ、いくよ!」と、その布を目指して吹きぬけたかのようでした。

今まで、風の存在を意識したことはありませんでした。もし、気にかけるとすれば、台風など怖い存在の暴風です。

しかし、この瞬間から私の中で、ただの風が、擬人化されてしまいました。童話の絵本の中で、「北風さん」など、目や頬がある風の絵は、写実。目には見えないけれど、確かにあることの写実なんだとわかることができました。 でもこの場合冷
たい北風のイメージではなく・・・時々人間界が気になる宙を舞う天女ということに 。

昨年末いただいた童謡カレンダーの1月と2月は「羽衣」になっていました。

♪風に袂が ヒラヒラと♪

今度吹く風に「この前はありがとう。」と誰にも内緒で言ってみよう・・・。