出かけた先でモネ展が開かれているのを知り、スケジュールの合間、予定外でしたので、駆け足で見てきました。

モネ、印象派というと、その特徴として教科書的に「光」の描写と習ったような気がしますが、今回のモネの絵から感じたことは「動」でした。屋外、自然界の中の「動」です。
流れる雲や吹く風のように動きを表す描写が意外と多いことに気づき、また、ある忘れられない風景が思い出されてきました。

それは、ありきたりの日常の中で出会った風景でした。

早朝、駅のホームでぼんやり空を見上げていました。その日は風雨の夜が明けた朝で、荒れた天気の幕を引くように大きな雲が流れていました。雲が切れると、空に白い月が残っているのがわかりました。

流れる雲の切れ間に月。
そして、その上空へ向って、ビルの合間から太陽が昇ってくるのです。

最初は建物の陰に隠れて見えなかった太陽が、登るににつれて、だんだんにその姿を見せてくるので、返って動きの速さがはっきりわかりました。
月が残り、風が吹き、雲が流れ、太陽が動く。無音の世界であるのに、体中に荘厳な交響曲が響いてくるようでした。

やがて太陽が昇ると、無音の世界は変わり、鳥が囀りながら飛び始めました。

太陽と月と雲が奏でる音のない音楽と、動く早さがそれぞれに違っていても完全なる調和がとれていて、とても印象的で大きな空の舞台を見ているようでした。

オーケストラは指揮者がいますが、同じように、何者かが日・月・雲・風も指揮しているようにも感じました。

そして、「祈る」ということがあるとすれば、日・月・雲・風の背後に存在する者に対して、祈るのだ感じられました。